代表メッセージ

ご挨拶

 株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 当社グループはスマートフォンアクセサリーのEC・卸販売を主とするコマース事業と、自社EC運営の課題解決のために生れたSaaS型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」をメインサービスとするプラットフォーム事業の2つの事業のシナジーを背景に成長してまいりました。

 スマートフォンケースの iFaceは国内トップの認知度を誇り、ネクストエンジンはECプラットフォームとして国内トップシェアの地位までになりました。

 昨今の経営環境において、気候変動の加速を肌で感じるようになり、地球の危機を実感する様になった今、多くの人の価値観が大量温室効果ガス排出型の大量生産、大量消費型プロダクトから、地球にやさしく、そしてしっかりと作り込まれた価値の高いブランドプロダクトを、できるだけ大事に長く使う事へと価値観がシフトしております。

 そのため、当社では新たにプロダクトの脱炭素化へ挑戦いたします。

 Missionとして掲げている「By your side」に、人類を彩るブランド創造企業としての価値要素をあわせ、共感していただける方を増やし、ファンに長く愛され、応援され、各ブランドが繁栄するよう一貫性のある取り組みをしてまいります。

NE株式会社のスピンオフについて

 2023年7月14日に公表いたしましたとおり、2022年8月にプラットフォーム事業を吸収分割の方法によって分社化した、当社 100%連結子会社であるNE株式会社の株式分配型スピンオフと、スピンオフIPOの準備を開始することを決定いたしました。

 株主の譲渡損益課税の繰り延べ措置が創設された株式分配型のスピンオフを利用し、当社の株主に対してNE株式を現物配当により交付いたします。

 なお、株主の皆様の売買機会を確保する観点から、NE株式の株式会社東京証券取引所(以下、「東証」といいます。)への上場が前提となるため、スピンオフ実施前に東証に新規上場申請を行う予定であり、東証の上場承認を得られること等が株式分配型スピンオフの条件となります。

 当社株式の東証における上場につきましては、NE株式会社のスピンオフ後も維持されます。従って、当社株主の皆様は、スピンオフの結果、当社株式とNE株式という2銘柄の上場株式を保有することになります。

スピンオフの目的

 スピンオフにより、当社とNE株式会社それぞれ最適な経営環境のもとで課題解決に取り組み、事業の進化・成長を加速させ、中長期的な企業価値の一層の向上を目指します。また、成長戦略の自由度を担保したうえで業務提携やサービス展開の最善手を選択する機会を創出し、結果として2社の企業価値の総和が組織再編前の企業価値を超えることで、株主価値の最大化を実現します。

 自社の課題解決のために開発した仕組みをサービス化し、NE株式会社として分社化いたしましたが、さらにこれをスピンオフ上場させることで、制度として開かれてはいるものの、日本においては事例として極めて少ない事業再編手法の活用事例並びに日本企業における新しい企業再編スキームを創出します。

26期(2024年4月期)第3四半期の振り返り

 第3四半期における売上高および営業利益について、コマースセグメントはモバイルライフ事業の健闘に加え、コスメティクス事業が牽引役となり、第3四半期会計期間においては、グループ全体で31.8%の大幅増収、営業段階で22.4%の大幅増益を達成しました。プラットフォームセグメントはネクストエンジン事業のサービス価格の改定に伴うARPUの向上と他社との営業連携に付随する売上などにより、第3四半期会計期間においては、16.7%の大幅増収、33.7%の大幅増益を達成しました。 また、第1四半期から繰延税金負債を計上したことで、法人税等が前年同期比332百万円増加し、累計期間の当期純利益は 14.9%の減益となりましたが、これは一過性の特殊要因であり、本業の収益力は改善が進んでおります。

・コマースセグメント

 モバイルライフ事業は新型iPhone向けの商材としてiFaceブランドを中心に新商品を展開することで、前年同期の実績を超える水準の売上を確保すべく販売活動に注力いたしました。新型 iPhone以外の売れ筋の機種向けについても継続的に新商品展開を行い、人気シリーズReflectionシリーズにおいては、新たにMagSafe対応 iFace「Reflection Neo Magnetic」を投入、また市場トレンドを取り入れた「iFace MagSynq カードウォレット」等を継続的に市場投入した結果、ECおよび卸販売共に順調に売上を拡大し、売上高は前年同期比3.9%増となりました。

 ゲーミングアクセサリー事業は第2四半期累計期間までは競合他社製品との競争の激化が見られましたが、当第3四半期会計期間に入り順調に販売が回復いたしました。特にホワイトモデルのゲーミングモニターおよびモニターアーム等の周辺機器が牽引役となり、Amazonブラックフライデーなどモールのセールや年末商戦において販売が拡大いたしました。また、ゲーミングモニターブランド「Pixio(ピクシオ)」が2024年1月に「Amazon.co.jp販売事業者アワード2023」タイムセール賞を受賞するなど、再び市場での注目を集めるまでに状況が改善いたしました。この結果、売上高は前年同期比 16.5%増となりました 。

 コスメティクス事業は自社ブランドである「ByUR(バイユア)」が前期第4四半期の好調さを引き続き維持しており、売上高が期初計画の2倍を上回る状態にて推移しております。これまでに各種コスメアワードを受賞し、2023年における年間アワード受賞数は51冠(ブランド累計 118冠)を数えるほか、各種ECモールの売れ筋ランキング上位入賞となるまで成長し、これまで以上に存在感が増したことで、新規卸販売先との契約が大幅に増加し、ByUR導入店舗数は2,000店舗を超えました。また、同時にベースメイクおよびスキンケア商品の新商品展開を行った結果、売上高は前年同期比888.1%増となりました。

 グローバル事業は韓国市場、米国市場、中国市場ともにグループ外に対する売上高は好調となっており、計画通り増収(前年同期比35.1%増)となりました。これは主に昨年 1月に事業譲受をいたしました音楽雑貨オタマトーンの販売が米国市場において好調に推移したためであります。売上が好調なコスメティクス事業関連商品のグループ間取引の増加による売上高の連結消去の額が増加しましたが、連結調整後の売上高は前年同期比 17.2%増となりました。

 これらの結果、コマースセグメントの当第3四半期連結累計期間の売上高は9,921,854千円(前年同四半期比 25.6%増)、セグメント利益(営業利益)は667,531千円(同0.2%減)となりました。

・プラットフォームセグメント

 ネクストエンジン事業は2023年6月に実施したサービス価格の改定により従量課金の基礎となる受注処理件数の増加が利用料金に反映しやすくなると同時に、基本利用料を月額 10,000円から3,000円に引き下げたことでEC販売における流通額が小規模な事業者様への間口が広がり、契約獲得ペースが回復基調となりました。

 また、昨年 12月に株式会社メ ルカリが運営する「メルカリShops」とネクストエンジンの連携及び、それに伴うキャンペーンの実施などにより、順調に契約社数が伸びた結果、当第3四半期の契約純増数は 117社となりました。料金改定に伴うARPUの向上と、12月に協業をスタートした、「メルカリShops」との営業連携に付随するインセンティブ売上などによって、ネクストエンジン事業の売上高は前年同期比 15.3%増と二桁成長となりまし た。 また、前連結会計年度に引き続いてECから撤退する事例が一定数認められるものの解約数自体は引き続き低位で推移し、当第3四半期の解約率は0.92%となりました 。

 コンサルティング事業はコンサルタントのリソース確保という経営課題に継続的に取り組むと同時に、業績改善に向けた新たな成長戦略を推進しておりましたが、2024年1月より新規契約に向けた営業活動を再開いたしました。引き続きコンサルタント不足に起因する売上の減少はあるものの、採算性を重視した活動に注力しており、当第3四半期の営業利益の実績は期初計画を上回ることが出来ました。

 ロカルコ事業は 10月に施行された、ふるさと納税に係る一部制度変更に起因する駆け込み需要が発生し、9月に大きく売上を伸ばしましたが、10月以降は当該駆け込み需要の反動減が認められ、当第3四半期の売上高は前年同期比0.3%増となりました。引き続き既存契約自治体への付加価値提供と新規自治体との契約獲得に注力してまいります。

 これらの結果、プラットフォームセグメントの当第3四半期連結累計期間の売上高は2,869,179千円(前年同四半期比8.5%増)、セグメント利益(営業利益)は1,478,364千円(同23.8%増)となりました。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は 12,782,724千円(前年同四半期比21.3%増)、営業利益は 1,362,055千円(同16.4%増)、経常利益は 1,441,350千円(同18.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は693,467千円(同14.9%減)となりました。

通期業績予想修正

 通期の業績予想について、当第3四半期連結累計期間における業績の進捗状況及び最近の経営環境等を踏まえ、2023年6月14日に公表いたしました通期連結業績予想を修正いたしました。 修正理由については下記の通りであります。

 2023年9月14日に公表いたしました「繰延税金負債の計上に関するお知らせ」のとおり、当期より連結子会社からの配当方針を変更し、海外連結子会社から当社への配当を行いましたが、これに付随して下記の税金費用が発生いたしました。

 ① 海外連結子会社が所在する各国で課される海外源泉税

 ② 当社が受け取る配当金に対する日本で課される本邦法人税

 これに伴い、法人税等調整額(損)が前年同期に対して第3四半期累計期間において332百万円増加したことから、当期の親会社株主に帰属する当期純利益が期初予想に対して3割程度減少する見込みとなったため、業績予想を修正するものであります。

 なお、本件は一過性の特殊要因であり、当社の収益力低下を意味するものではありません。

 さらにコマース事業について、前年実績を超える水準の売上高で推移するモバイルライフ事業の健闘に加え、コスメティクス事業が牽引役となりグループ全体で大幅な増収基調となっているものの、個人消費の停滞に起因してモバイルライフ事業は期初計画に対しては売上高未達の状況が続いています。

 また、コスメティクス事業の躍進の背景にある好機を捉えた積極的な広告宣伝投資の継続と、卸販売先開拓に伴う販売促進費等の大幅な増加が見込まれるため、業績予想を修正するものであります。

 これらの状況を踏まえ、業績予想を見積もった結果、売上高は 17,292 百万円(前回予想比 2.8%増)、営業利益は 1,868 百万円(同10.5%減)、経常利益は 1,942 百万円(同6.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,053 百万円(同31.5%減)となる見込みであります。

● MissonとPurpose

 2社共通のDNAである『クリエイティブ魂に火をつける。』のもと、Hamee株式会社とNE株式会社は、それぞれが社会に対して提供したい価値や、体現したい価値感を言語化するため、新たにMissionとPurposeを策定いたしました。

● Hamee株式会社はMissionとして『By your side「じぶん」のそばに「らしさ」という相棒を。』を掲げ、By your sideを体現するプロダクトとサービスを世界に広めていくことで企業価値の更なる向上を目指します。

● NE株式会社はPurposeとして『コマースに熱狂を。』を掲げ、全てのコマース事業者に伴走することで、コマースに関わるすべての人と、単なる楽しさを超えた「新しい熱狂」をつくりだす存在になることを目指します。

 当社グループのDNAである「クリエイティブ魂に火をつける。」この言葉には、「自らのクリエイティブ魂に火をつけ、主要2事業の継続的進化・成長を実現するのと同時に、周辺分野でイノベーティブな新規事業を創出し、顧客のクリエイティブ魂にも火をつけるようなビジネスと経営者を継続的に輩出する。」という想いが込められています。

 第一弾は、NE株式会社のスピンオフとなりますが、次の新規事業をいち早く輩出できるよう、走りながら常に考え、新しい価値、サービスおよび製品等をいつでも提供できるように全社の組織体制をアップデートし、事業を確立してまいります。

 株主の皆様をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に、共感をいただくことでいつでも多くの方々から応援される企業であり続けられるよう、日々精進してまいります。

 引き続きより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2024年3月15日

Hamee株式会社 代表取締役社長 水島育大

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