代表メッセージ

代表メッセージ

水島育大

ご挨拶

 株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 当社グループはスマートフォンアクセサリーの EC・卸販売を主とするコマース事業と、自社 EC運営の課題解決のために生れた SaaS型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」をメインサービスとするプラットフォーム事業の2つの事業のシナジーを背景に成長してまいりました。

 スマートフォンケースの iFaceは国内トップの認知度を誇り、ネクストエンジンは ECプラットフォームとして国内トップシェアの地位までになりましたが、構造の大きく異なる2つの事業を単一の企業体として運営する中でさまざまな課題を感じるようになりました。

 質の違う2つの事業の成長を最大限に担保するためには、意思決定プロセスの単純化や、労働環境、給与水準などをそれぞれの事業に合わせる必要があるものの、現組織体制では全体最適が優先されるため当該課題の根本的な解決が困難となっており、それが非効率化に繋がっている、というのも課題のひとつです。

 もうひとつの大きな課題として、現在の当社に対する市場からの評価は、 ECや卸販売の売上比率の高さからコマース企業の側面が強調されたものになっていることが上げられます。これに起因して、プラットフォーム事業に対して SaaS運営企業としての市場評価が適切に反映されず、株主価値を最大限に発揮できていないと考えております。

 これらの課題を解決するため、2023年7月14日に公表いたしましたとおり、2022年8月にプラットフォーム事業を吸収分割の方法によって分社化した、当社100%連結子会社であるNE株式会社の株式分配型スピンオフと、スピンオフIPOの準備を開始することを決定いたしました。


NE株式会社のスピンオフについて

 株主の譲渡損益課税の繰り延べ措置が創設された株式分配型のスピンオフを利用し、当社の株主に対して NE株式を現物配当により交付いたします。

 なお、株主の皆様の売買機会を確保する観点から、NE株式の株式会社東京証券取引所(以下、「東証」といいます。)への上場が前提となるため、スピンオフ実施前に東証に新規上場申請を行う予定であり、東証の上場承認を得られること等が株式分配型スピンオフの条件となります。

 当社株式の東証における上場につきましては、NE株式会社のスピンオフ後も維持されます。従って、当社株主の皆様は、スピンオフの結果、当社株式と NE株式という2銘柄の上場株式を保有することになります。


スピンオフの目的

 スピンオフにより、当社と NE株式会社それぞれ最適な経営環境のもとで課題解決に取り組み、事業の進化・成長を加速させ、中長期的な企業価値の一層の向上を目指します。また、成長戦略の自由度を担保したうえで業務提携やサービス展開の最善手を選択する機会を創出し、結果として2社の企業価値の総和が組織再編前の企業価値を超えることで、株主価値の最大化を実現します。

 自社の課題解決のために開発した仕組みをサービス化し、 NE株式会社として分社化いたしましたが、さらにこれをスピンオフ上場させることで、制度として開かれてはいるものの、日本においては事例として極めて少ない事業再編手法の活用事例並びに日本企業における新しい企業再編スキームを創出します。


東証スタンダード市場の選択について

 上場維持基準に関する経過措置が終了する2025年3月までに、プライム市場維持基準である流通株式時価総額100億円以上を達成することについて、実現が困難であると考えてはいないものの、NE株式会社のスピンオフ実施に至った場合、当社株価は理論上、NE株式会社の価値相当分だけ調整されるため、当社の時価総額は相応に減少することになります。その前提で本スピンオフ後の当社の成長戦略や事業展開を勘案した場合、現時点で見合う市場としてスタンダード市場を選択することが合理的であると判断し、同市場への選択申請をいたしました。


26期(2024年4月期)第1四半期の振り返り

 第1四半期における売上高および営業利益については、コマースセグメント、プラットフォームセグメントともに期初計画を上回って着地いたしました。これは卸販売が前年同期比10.1%増とモバイルライフ事業が回復基調にあることに加え、コスメティクス事業が前年同期比13.3倍の売上高を達成するなど国内コマースセグメントは順調となったことと、プラットフォームセグメントのネクストエンジン事業について、6月に実施した基本利用料の引き下げおよび従量課金テーブルの改定により新規流入が増加し契約獲得社数が回復となり、7月には過去最高の142社の新規契約を獲得したことが主な要因となっております。

・コマースセグメント

 モバイルライフ事業はiPhone以外の機種向け商品や、市場トレンドを取り入れた新商品の開発スピードの向上に取り組むほか、有力IPとのコラボレーション企画など主力商品であるiFaceシリーズの拡販に注力する、という期初の計画にもとづき各種の施策を積極的に展開いたしました。具体的には5月にGoogle Pixel専用iFaceをリリースしたほか、人気キャラクターとiFaceのコラボ商品を発売。また、6月には人気のiFace Reflectionシリーズの新デザイン「Reflection Neo」を発売するなど、新商品の投入を継続的に行いました。これらの施策により、小売は引き続き伸び悩んだものの、卸販売の売上高は前年同期比10.1%増と回復傾向が見られました。

 ゲーミングアクセサリー事業は価格と性能面のバランスが評価され、前期において順調に販売が拡大いたしましたが、当第1四半期については競合他社製品との競争の激化が見られました。当該状況を打破すべくゲーミングモニターの新商品をリリースすると同時に、オリジナルのモニターアームなど新商品を投入してトップラインの向上に努めましたが、売上高は前年同期比4.6%減となりました。

 コスメティクス事業は2023年4月にTV番組で紹介されたことをきっかけに大躍進した前期第4四半期の好調さを維持しており、単月の売上高が1億円を超えるなど計画を上回る状態を継続しております。受注の集中によって前期末より在庫の欠品が生じ、6月中旬までバックオーダーを抱える形となりましたが、売上高は前年同期比13.3倍の317百万円と大幅に伸長いたしました。また、ECモールでの飛躍的な注目度の向上を背景に卸取引も増加しており、今後は化粧品製造販売業許可の取得による利益率の改善も見込めるため、モバイルライフ事業に次ぐ収益の柱として注力してまいります。

 グローバル事業は韓国市場、米国市場、中国市場ともにグループ外に対する売上高は増収(前年同期比17.3%増)となりましたが、商品ミックスの変化(売上原価率の高い商品の販売が増加していること)等に起因して売上総利益率が低下し減益となりました。

 これらの結果、コマースセグメントの当第1四半期連結累計期間の売上高は2,537,599千円(前年同四半期比8.8%増)、セグメント利益(営業利益)は87,001千円(同45.5%減)となりました。

・プラットフォームセグメント

 ネクストエンジン事業は2023年6月に実施したサービス価格の改定により、EC販売における流通額が小規模な事業者様への間口が広がると同時に、従量課金の基礎となる受注処理件数の増加が利用料金に反映しやすくなりました。特に基本利用料を月額10,000円から3,000円に引き下げたことで、無料契約の申込が増加したこともあり、契約獲得ペースに回復が見られ、当第1四半期の契約純増数は145社となりました。また、7月には月間の契約獲得数としては過去最高の142社を記録しております。

 なお、前連結会計年度に引き続いてECから撤退する事例が一定数認められるため、当第1四半期の解約率は0.94%となりました。これらを背景として、ネクストエンジン事業の売上高は前年同期比5.1%増となりました。

 コンサルティング事業は前期第4四半期に引き続きコンサルタントのリソース確保という経営課題に継続的に取り組んでおり、コンサルタント不足に起因する売上の減少に加え、不足するリソースの外注化による外注費の増加や人件費の増加により、利益面についても減益となりました。当面は人員確保と基盤整備を優先課題として捉え、来期から成長回帰できるよう体制強化に注力いたします。

 ロカルコ事業は例年安定した寄付を得られていた返礼品のメーカーが、ロカルコ事業の契約自治体より撤退したことに起因する売上高の減少を、他の契約自治体に対する付加価値向上施策(返礼品の提案、サイトの改善等)によりカバーすることに尽力しましたが、売上高は前年同期比5.7%減となりました。引き続き既存契約自治体への付加価値提供と新規自治体との契約獲得に注力してまいります。

 これらの結果、プラットフォームセグメントの当第1四半期連結累計期間の売上高は781,711千円(前年同四半期比1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は349,116千円(同8.1%増)となりました。

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は3,316,762千円(前年同四半期比6.8%増)、営業利益は174,163千円(同29.9%減)、経常利益は203,618千円(同31.4%減)、一部の連結子会社からの当社への配当方針を見直したことに伴い、当社が将来の配当受取り時に納付すると想定される税金総額を繰延税金負債として認識し、当該影響も含め法人税等調整額を259,967千円計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純損失は132,514千円(前年同四半期は206,986千円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。


中期経営計画の見直し

 2022年5月~2025年4月中期経営計画においては、グループの中長期的成長を目的に事業計画を策定し、国内外で高い目標を掲げて業績の拡大に取り組みましたが、世界的な原材料価格・エネルギー価格の高騰によるインフレや 急激な円安といったリスクが顕在化しました。その結果、家計の圧迫により消費行動に変容が見られると同時に新型コロナウイルスによる行動規制の緩和によって、 モノ消費からコト消費にシフトする傾向が強まりました。こういった当社グループを取り巻く経済環境や直近の経営状態を踏まえ、2022年6月13日公表の中期経営計画(2023年4月期 ~ 2025年4月期)を見直し、新たな 2024 年 4月期~ 2026 年4月期に係る3か年の中期経営計画を策定いたしました。

・コマースセグメント

 モバイルライフ事業の早期 V 字回復を目指し、市場トレンドを取り入れた新商品の開発スピードを向上させ、iFaceシリーズの拡販に注力いたします。

 ゲーミング アクセサリー事業およびコスメティクス事業については、当社製品のブランド認知向上および販売チャネルを拡大させ、売上をこれまで以上に伸長させると同時に原価率低減に取り組みます。その他事業については、Hamic 事業の売上拡大および投資先案件の模索を継続してまいります。

 グローバル事業については、製品製造事業を譲り受けたオタマトーンの更なる拡販と、EU やアジアといった新たな販売 地域の拡大に注力し、売上拡大を目指してまいります。

・プラットフォームセグメント

 ネクストエンジン事業は、より多くの EC 事業様にご利用いただく機会の創出を企図して新料金プランを導入いたしましたが、今まで以上の価値を提供できるよう機能の拡充に努めることで、ユーザー様の成長に寄り添ってまいります。

 ロカルコ 事業においては市場規模が引き続き拡大傾向にあるため、当社グループにおけるECノウハウを活用し、新たな自治 体の獲得並びに既存契約自治体への継続的な サポートを提供してまいります。

 コンサルティング事業は、成長軌道へ回帰させるため、コンサルタント人員の確保に早急に努めてまいります。

 グループ全体の業績数値としては、3年後の2026年4月期において、売上高225億円、営業利益33億円・営業利益率14.8%を目指す内容になっています。

 コマースセグメントにおいては、3年後の2026年4月期において、売上高171億円、セグメント利益23億円・セグメント利益率13.8%を目指します。

 プラットフォームセグメントにおいては、3年後の2026年4月期において、売上高53億円、セグメント利益24億円・セグメント利益率45.3%を目指します。


 中期経営計画の達成に向けて、2社共通のDNAである 『クリエイティブ魂に火をつける。』 のもと、Hamee株式会社と NE株式会社は、それぞれが社会に対して提供したい価値や、体現したい価値感を言語化するため、 新たにMissionと Purposeを策定いたしました。

● Hamee株式会社は Missionとして『By your side 「じぶん」 のそばに 「らしさ」 という相棒を。』を掲げ、By yoursideを体現するプロダクトとサービスを世界に広めていくことで企業価値の更なる向上を目指します。

● NE株式会社はPurposeとして 『コマースに熱狂を。』 を掲げ、全てのコマース事業者に伴走することで、コマースに関わるすべての人と、単なる楽しさを超えた 「新しい熱狂」 をつくりだす存在になることを目指します。

 当社グループの DNAである「クリエイティブ魂に火をつける。」この言葉には、「自らのクリエイティブ魂に火をつけ、主要2事業の継続的進化・成長を実現するのと同時に、周辺分野でイノベーティブな新規事業を創出し、顧客のクリエイティブ魂にも火をつけるようなビジネスと経営者を継続的に輩出する。」という想いが込められています。

 第一弾は、NE株式会社のスピンオフとなりますが、次の新規事業をいち早く輩出できるよう、走りながら常に考え、新しい価値、サービスおよび製品等をいつでも提供できるように全社の組織体制をアップデートし、事業を確立してまいります。

 株主の皆様をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に、共感をいただくことでいつでも多くの方々から応援される企業であり続けられるよう、日々精進してまいります。

 引き続きより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2023年9月14日

Hamee株式会社 代表取締役社長 水島育大

※本ページにおける内容は、現時点における定性的な情報であり、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。

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