代表メッセージ

ご挨拶

 株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 当社グループはスマートフォンアクセサリーのEC・卸販売を主とするコマース事業と、自社EC運営の課題解決のために生れたSaaS型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」をメインサービスとするプラットフォーム事業の2つの事業のシナジーを背景に成長してまいりました。

 スマートフォンケースの iFaceは国内トップの認知度を誇り、ネクストエンジンはECプラットフォームとして国内トップシェアの地位までになりました。前期においては新規事業として取り組んでいた、コスメブランドのByURやゲーミングアクセサリーブランドのPixioも売上を伸ばし、グループを支える柱として成長しつつあります。

 昨今、気候変動やレジリエンスなどサステナビリティ分野への注目はますます高まっていると感じています。さらにライフスタイルが多様化し、多様な働き方が選択できるようになったからこそオフィスでのリアルなコミュニケーションは改めて重視されています。

 また、昨今の経営環境において、気候変動の加速を肌で感じるようになり、地球の危機を実感する様になった今、多くの人の価値観が大量温室効果ガス排出型の大量生産、大量消費型プロダクトから、地球にやさしく、そしてしっかりと作り込まれた価値の高いブランドプロダクトを、できるだけ大事に長く使う事へと価値観がシフトしております。

 そのため、当社では2030年までにCO₂排出量を約半減することを目標に、プロダクトの脱炭素化へ挑戦していきます。

 Missionとして掲げている「 By Your Side, 人を彩るモノづくりと脱炭素の両立」に基づき、人類を彩るブランド創造企業として、共感していただける方を増やし、ファンに長く愛され、応援され、各ブランドが繁栄するよう一貫性のある取り組みをしてまいります。

NE株式会社のスピンオフについて

 2023年7月14日に公表いたしましたとおり、2022年8月にプラットフォーム事業を吸収分割の方法によって分社化した、当社 100%連結子会社であるNE株式会社の株式分配型スピンオフと、スピンオフIPOの準備を開始することを決定いたしました。

 株主の譲渡損益課税の繰り延べ措置が創設された株式分配型のスピンオフを利用し、当社の株主に対してNE株式を現物配当により交付いたします。

 なお、株主の皆様の売買機会を確保する観点から、NE株式の株式会社東京証券取引所(以下、「東証」といいます。)への上場が前提となるため、スピンオフ実施前に東証に新規上場申請を行う予定であり、東証の上場承認を得られること等が株式分配型スピンオフの条件となります。

 当社株式の東証における上場につきましては、NE株式会社のスピンオフ後も維持されます。従って、当社株主の皆様は、スピンオフの結果、当社株式とNE株式という2銘柄の上場株式を保有することになります。

 なお、スピンオフ上場準備への途中経過につきましては、2025年中の上場申請を目標に順調に進捗しております。

スピンオフの目的

 スピンオフにより、当社とNE株式会社それぞれ最適な経営環境のもとで課題解決に取り組み、事業の進化・成長を加速させ、中長期的な企業価値の一層の向上を目指します。また、成長戦略の自由度を担保したうえで業務提携やサービス展開の最善手を選択する機会を創出し、結果として2社の企業価値の総和が組織再編前の企業価値を超えることで、株主価値の最大化を実現します。

27期(2025年4月期)第1四半期の振り返り

 第1四半期における売上高および営業利益について、グループ全体で前年同期比 38.1%の大幅増収、28.3%の大幅増益を達成し、概ね計画通りに 1Qは着地しました。

コマースセグメントはコスメティクス事業とゲーミングアクセサリー事業の大躍進により、前年同期比 44.9%と大幅に増収しました。2Qに向けたマーケティング施策の先行実施や、グローバル事業への投資拡大により前年同期比減益となっていますが、2Q以降、需要増加期を迎え、利益面も堅調に推移する見込みです。

プラットフォームセグメントはEC市場への消費回帰を背景に利用単価の高いユーザーの受注処理件数が増加したことに伴い、ネクストエンジン事業が売上の伸びを牽引し、セグメント全体で 15.2%と大幅に増収しました。

・コマースセグメント

 モバイルライフ事業は前連結会計年度に引き続き iPhone以外の機種向け商品や、市場トレンドを取り入れたモバイル関連アクセサリーの市場投入に加え、人気 IPコンテンツとのコラボレーション企画など主力商品である iFaceシリーズの拡販に注力いたしました。具体的には5月にGoogle Pixel8a専用スマートフォンケース、人気キャラクターと iFaceのコラボ商品を発売いたしました。また、6月には透明なガラスの美しさと耐衝撃性を兼ね備えた「Reflection」シリーズの累計出荷が700万個、全面クリア素材で作られた「Look in Clear」シリーズの累計出荷が 100万個を突破いたしました。更に7月には「Hang and」シリーズから人気のベージュカラーをベースに秋冬向けのショルダーストラップを市場に投入いたしました。「Hang and」シリーズにおいては累計22万個を超えるヒット商材となっております。これらの施策により、卸販売は伸び悩んだものの、小売の売上高は前年同期比9.3%増と回復傾向が見られた結果、売上高は前年同期比 1.6%増となりました。

 コスメティクス事業は前連結会計年度の好調さを引き続き維持しており、売上高が期初計画を上回る状態にて推移しており、中核事業へ成長し続けております。ブランド累計のコスメアワードも 137冠を達成し、認知がこれまで以上に拡大しています。更に、新規卸販売先との契約は引き続き堅調であり、マーケティング戦略を駆使しながら導入店舗を慎重に検討した結果、ByUR導入店舗数は約5,500店舗となりました。また、ブランド初のUVケア商品などの新商品発売やECモールのセールがあったことで順調に推移した結果、売上高は前年同期比 186.5%増となりました。

 ゲーミングアクセサリー事業はゲーミングモニターブランド「Pixio(ピクシオ)」は前連結会計年度から販売が好調なホワイト、パステルカラーモデルのゲーミングモニター及びモニターアームなどの周辺機器が牽引役となり、Amazon Prime dayなどECモールのセールにおいて販売が拡大いたしました。加えて、新規EC店舗取引先との契約、家電量販店及び電子機器販売店などとの取引も拡大した結果、売上高は前年同期比284.5%増となりました。

 グローバル事業は米国市場、韓国市場及び中国市場において、販売が好調なコスメティクス事業での売れ筋商品や新商品などのグループ間取引が増加した結果、連結消去後の売上高は前年同期比2.7%増となりましたが、グループ外に対する売上高は販売が好調に推移した結果、前年同期比23.9%の増収となりました。営業利益については減益となりましたが、新商品展開を行うモバイルライフ事業及びコスメティクス事業の在庫増加に伴う未実現利益の控除額の増加、また、韓国におけるコスメティクス事業、米国オタマトーンの売上拡大に係るマーケティング費用及び物流費などが主な要因となっております。

 これらの結果、コマースセグメントの当第 1四半期連結累計期間の売上高は3,678,025千円(前年同四半期比44.9増)、セグメント利益(営業利益)は 134,117千円(同14.1%減)となりました。

・プラットフォームセグメント

 ネクストエンジン事業は2023年6月にサービス価格を改定し、基本利用料を月額 10,000円から3,000円に引き下げたことで、EC販売における流通額が小規模な事業者様への間口が広がると同時に、従量課金の基礎となる受注処理件数の増加が利用料金に反映されやすくなったことに起因して、2023年 11月の新サービス価格の既存ユーザーへの適用開始以降、ARPUが向上する傾向が続いております。また、コロナ禍の反動でモノ消費からコト消費へシフトした消費行動の変容にも落ち着きが見られ、EC市場への消費回帰の兆しが見られました。一方で、基本利用料の引き下げに伴い顧客ターゲットが広がったことから、従来とは異なるマーケティング手法が求められているため、当第 1四半期においてリード獲得の効率が低下し、契約純増数の目標88社に対し実績は若干のビハインドとなるなど、契約社数の伸びについては課題を残す結果となりましたが、無料契約から正式契約への転換率向上と、解約率の低位維持に注力することで、総契約社数は6,329社(前連結会計年度末比73社増)となりました。これらの結果、ネクストエンジン事業の売上高は前年同期比 18.6%増となりました。

 ロカルコ事業は前期において新規に契約を獲得した自治体の貢献もあり、当第 1四半期のふるさと納税支援サービスは前年実績を超えて推移いたしました。また、本年4月に事業譲受により取得いたしました、伝統工芸品のEC販売事業については、在庫の安定供給という仕入先(工芸職人)の課題があるものの、ふるさと納税支援サービスの契約自治体内で仕入先を開拓するなどの地道な活動により販売機会の拡大に努めました。これらの結果、ロカルコ事業の売上高は前年同期比28.6%増となりました。

 コンサルティング事業は引き続きコンサルタントのリソース確保(採用と定着率の向上)という経営課題があることから、現有リソースの稼働率最大化と採算管理の徹底を意識した活動を継続しております。そのため、売上自体は前年同期に比して 12.8%減となっておりますが、案件ごとの採算管理、コンサルタントの稼働率向上、コスト見直しなど、収益性を重視した取り組みに注力した結果、営業利益の実績は前年を大きく上回ることが出来ました。

 エンサーモール事業は新規事業開発の成果として前期にβリリースをした、メーカーと小売店を繋ぐ新たな卸売マーケットプレイス「encer mall(エンサーモール)」の運営に係る事業であり、当第 1四半期については正式リリースに向けた会員企業の勧誘などマーケティング活動と研究開発活動が主な内容となっております。

 これらの結果、プラットフォームセグメントの当第 1四半期連結累計期間の売上高は904,654千円(前年同四半期比 15.7%増)、セグメント利益(営業利益)は482,447千円(同38.2%増)となりました。

 以上の結果、当第 1四半期連結累計期間における売上高は4,578,874千円(前年同四半期比38.1%増)、営業利益は223,417千円(同28.3%増)、経常利益は 196,175千円(同3.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 101,477千円(前年同四半期は 132,514千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

中期経営計画の見直し

 2024年4月期~2026年4月期中期経営計画においては、グループの中長期的成長を目的に事業計画を策定し、国内外で高い目標を掲げて業績の拡大に取り組みましたが、ウクライナ情勢の長期化及びイスラエル・パレスチナ情勢の影響などによる原材料・エネルギー価格の高騰や、為替相場の急変動に加えて、賃金や金利の上昇など、依然として先行きの不透明感が拭えない状況が続いております。

 また、当社グループにおいては、NE株式会社の上場準備の進展に伴い、当初想定した範囲を超えて費用が発生する見込みとなったほか、海外子会社においては業績に伴う賞与等の準備金計上による費用増加が見込まれます。

 さらにコマースセグメントのコスメティクス事業及びゲーミングアクセサリー事業、並びにプラットフォームセグメントのロカルコ事業及びエンサーモール事業においては、成長段階であり、将来に向けた事業拡大の準備をするため、引き続き一定の投資をしてまいります

 こういった当社グループを取り巻く経済環境や直近の経営状態及び各種方針を踏まえ、2023年6月 14日公表の中期経営計画(2025年4月期〜2026年4月期)を見直しいたしました

・コマースセグメント

 モバイルライフ事業については毎年9月に発表される新型 iPhone向け商材に加え iPhone以外の機種向け商品や、市場トレンドを取り入れた新商品の開発スピードの向上など引き続き各種施策に積極的に取り組むほか、有力 IPとのコラボレーション企画など主力商品である iFaceシリーズの拡販に注力いたします。また、iPhone以外のGoogle PixelやSamsung Galaxyなどのスマートフォンへの拡充も続けながら、好評いただいているAir Podsケース、肩掛けストラップ、ストラップホルダーなどの周辺アクセサリーに対しても注力し、モバイルライフ事業においてもポートフォリオ形成を進めてまいります。

 ゲーミング アクセサリー事業はホワイトカラーモデルやパステルカラーモデルモニターの好調を受け、引き続きデスク環境を提供し続け、モニター以外のデスク周辺アクセサリー展開を強化してまいります。また、eスポーツイベントへの協賛などを通じてブランド認知をさらに拡充させ、トップラインを伸長させる計画としております。引き続きメーカーであるPixio USA Inc.との関係強化により、原価低減と販売地域の拡大を図ってまいります。

 コスメティクス事業は、2024年4月期は飛躍の期となり、認知及び売上が大幅に拡大し中核事業へと成長いたしました。今後も「ByUR」ブランドに注力したうえで、新商品の市場投入及びSNSを中心としたプロモーションによるEC店舗への誘致と卸販売先の開拓を進めてまいります。

 グローバル事業については、製品製造販売事業を譲り受けた音楽雑貨のオタマトーンについて、現状の米国に加え欧州での販売にも注力することで、トップラインの伸長を実現してまいります。加えて、キャラクター展開されたスクイーズや iFaceを中心とするモバイルアクセサリーの展開を進めることで、引き続き成長するよう努めてまいります。

・プラットフォームセグメント

 ネクストエンジン事業は、新料金プランを導入することで、より多くのEC事業者様にご利用いただく機会を創出いたしました。引き続き、EC事業者様に寄り添ったサービスを提供し、強固な関係を維持いたします。さらに、新規サービス開発投資を行い、EC事業者様の成長に伴走いたします。なお、前期において他社との営業連携に伴う一過性のインセンティブ売上を計上していることから、増収率が低迷する外観となっておりますが、当該特殊要因を除く成長率は8.4%と二桁に迫ります。

ロカルコ事業においてはふるさと納税の寄付獲得に関する競争は激化しており、地方自治体においても魅力的な返礼品の企画や、ホームページの改善など様々なニーズが高まっております。既存契約先自治体の寄付額増加に繋がるような付加価値提供に注力すると同時に、地域戦略を見直して顧客との関係を強化いたします

 コンサルティング事業は、ネクストエンジン事業と顧客基盤を統合し、中小規模のEC事業者に能動的にアプローチ、成長に伴走することでLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)の最大化を目指してまいります。結果として中長期的な利益成長を実現いたします。

 さらに、2024年 1月にβ版をリリースしたメーカーと小売店を繋ぐ新たな卸売マーケットプレイス「encer mall(エンサーモール)」の正式リリースを予定しているため、当該事業についても計画に織り込んでおります。

 グループ全体の業績数値としては、2年後の2026年4月期において、売上高240億円、営業利益30億円・営業利益率 12.6%を目指す内容になっています。

 コマースセグメントにおいては、2年後の2026年4月期において、売上高 193億円、セグメント利益26億円・セグメント利益率 13.4%を目指します。

 プラットフォームセグメントにおいては、2年後の2026年4月期において、売上高46億円、セグメント利益23億円・セグメント利益率51.4%を目指します。

 さらなるブランド価値向上を図るため、Hameeの経営理念をアップデートいたしました。

・Purpose/目的「クリエイティブ魂に火をつける」

・Vision/めざす姿「人と地球の”らしさカンパニー”」

・Mission/なす事「By your side,人を彩るモノづくりと脱炭素両立」

モノづくりだけでなく、脱炭素への取り組みにも挑戦してまいります。人類を彩るブランド創造企業として事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献いたします。

 当社グループのDNAである「クリエイティブ魂に火をつける。」この言葉には、「自らのクリエイティブ魂に火をつけ、主要2事業の継続的進化・成長を実現するのと同時に、周辺分野でイノベーティブな新規事業を創出し、顧客のクリエイティブ魂にも火をつけるようなビジネスと経営者を継続的に輩出する。」という想いが込められています。

 第一弾は、NE株式会社のスピンオフとなりますが、次の新規事業をいち早く輩出できるよう、走りながら常に考え、新しい価値、サービスおよび製品等をいつでも提供できるように全社の組織体制をアップデートし、事業を確立してまいります。

 株主の皆様をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に、共感をいただくことでいつでも多くの方々から応援される企業であり続けられるよう、日々精進してまいります。

 引き続きより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2024年9月13日

Hamee株式会社 代表取締役社長 水島育大

TOP