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成長か淘汰か。あなたの会社が成長産業になるための3つのポイント

非常識 社長業

本記事は、田口和寿氏の著書『非常識 社長業〜一万回断られても10,001回目に成功させる〜』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

成長産業になり成長するか? 非成長産業になり淘汰されるか?

目次

  1. 成長産業になり成長するか? 非成長産業になり淘汰されるか?
  2. 100円のものを1000円で売るたった〝1つの秘策〟
  3. グローバル時代に取り残された企業はどうなるか?
  4. 〝業界飛び越えコラボ〟なしでは生き残れない
世界ブランドランキング「急成長」TOP10企業は?
(画像=YiuCheung/stock.adobe.com)

このような時代に生き残るためのたったひとつの答えがあります。それは「成長産業」になるということです。成長産業にこそお客様からのニーズがあり、選ばれる商品・サービスや企業体として永続する力が宿ると私は考えています。

成長産業になるためには3つのポイントがあります。

1つは「世界に売る」ということ。

新杵堂では、今までは日本産の農作物を素材に加工品やお菓子を作ってきましたが、それを日本国内だけではなく世界に売っています。

世界に売るためには当然ですがインターネットの活用が必要になってきます。加えて、世界で本流になっている動画プラットフォーム『TikTok』『Douyin』を活用した新EC販売についても世界13ヶ国に部門を立ち上げています。

2つ目は「顧客基盤を持っている企業と業務提携を行う」ということです。

お菓子で言えば、お客様は「お菓子を買いに来た消費者」となりますが、顧客基盤を持っている企業と業務提供できれば、別の目的で買いに来た消費者を自社のお客様にすることができます。

例えば、新杵堂は某通販会社・某電気量販店・某農業企業など多数企業様と提携をしていますが、これなら家電やカメラ、マットレス、フィットネス商品などの別商品を買いに来た(その目的でテレビを見ている)消費者にセットでお菓子を販売することができます。他にも某芸能プロダクションとも業務提携していますが、それによってコンサート会場で新杵堂のお菓子を販売する新しい販路を獲得することができたのです。

3つ目は「他社がやらないことをやる」ということです。

お菓子業界では注文から納品まで1週間~数ヶ月と、お客様を〝待たせる〟ことが常識になっています。ですが新杵堂では逆に時間短縮を意識しており、1週間かかるのであれば5日、それを4日に、3日に……と時短させることに取り組んでいます。

たった数日短縮するだけですが数万件の発送があるため数千万円~数億円の冷蔵庫や物流倉庫などの投資が必要になります。それでも成長産業であり続けるためには必要な投資だと考えているのです。

このように考えるのは、私が海外に出て、海外の市場を見ていることが大きく関係しています。

例えば、韓国にはCoupang(クーパン)というeコマース企業があります。韓国最大のオンライン小売業者であり、年間売上は40億ドル以上。50万個以上の商品をソウル市内であれば3時間以内か翌日に配送することで有名です。

仮に、このCoupangで野菜のナスを注文するとします。すると、街の八百屋さんよりもより安い価格で、3時間以内に到着します。

消費者としては、店にまで足を運んで買うのとCoupangを利用するのと、どちらに利便性があるでしょうか?

お菓子も同じです。おいしいから売れるのではなく、お客様の利便性がなければ選んでもらえない時代になったのです。

世界で売ることを意識し、現状の自社とは異なる顧客基盤を持っている企業と業務提携し、さらに他社がやらないことに挑戦する姿勢。この3つを兼ね備えることこそ成長産業になるコツであると私は考えるのです。

それができれば「付加価値」が生まれて、それをインターネットにのせて世界で挑戦できるからです。

100円のものを1000円で売るたった〝1つの秘策〟

2011年に発売され、25万部を超えるベストセラーになった『100円のコーラを1,000円で売る方法』という永井孝尚氏の書籍があります。

私は、企業が生き残っていくためには、自社商品の価格設定を間違えず、お客様に価値を伝えていく必要があると考えます。

大手企業であれば、1つの商品大量生産し、広告を打って、低価格で数万個のロットで商品を販売していくことが可能です。

しかし中小企業や個人商店にとっては、大手企業の戦略は取れません。

いいものを作り、その価値を伝え、ある程度の利益の出る高価格で販売していかなければいけないのです。もちろん、価格に合った内容に商品レベルを上げていくための施策も必要です。

ここを間違えて、必要以上に高価格にしてしまったり、逆にあまりに低価格にしてしまうと、「まったく売れない」か「すごく売れるけど儲からない」かの二択になってしまいます。

このような事態を避けるために重要なのが「その商品の価値」をいかにして伝えるか、です。

ここで行うべきは高価格設定ができる企業との業務提携です。

例えば、新杵堂では現在、1,500円のロールケーキを販売する自動販売機を作っています。これを繁華街において〝コーヒーと一緒に売る〟のです。

もちろん、その背景には「コーヒーが1日に何本売れるとお菓子がどれだけ売れるか」というデータがありますが、単に価格を上げるのではなく、セットで高価格で売りながら、人気商品やブランドと共同で広報を実施します。

これはあくまでも一例ですが、売り方や売り場所をアレンジし、新しいチャネルでいかに売るかの策を考える必要があると思っています。

特に菓子業は新スタイルに挑戦しづらいため、挑戦が少なく、私たちのような会社にとって機会でもあると考えて行動しています。

グローバル時代に取り残された企業はどうなるか?

内閣府の発表によると、現在1億2,500万人ほどの日本人口は2025年には1億2,000万人を割り、2045年には1億人を割り、2055年には9,000万人を下回るようです。

さらに、65歳以上の高齢者の割合も現在の3分の1から2分の1にまで増えるとされており、超高齢化社会へのシフトとともに、日本人だけをターゲットにしたやり方では売上を維持できない世界になると考えられます。

言わば「強制的なグローバル時代」になるということです。

このような日本の社会的背景がある中で、企業が取るべき視線は間違いなく海外に向いています。海外でものを売ることを視野に入れない企業は取り残され、淘汰されていくでしょう。ですが、悲観する必要はないと私は考えています。

世界でも信頼性のある日本製品は売り方さえ間違えなければ売れるからです。とくにアメリカやフランスでは、日本の製品が売れる可能性は大いにあります。

まずは海外で好調な日本企業を調べること、自社のスキームと重ね、戦えるか考えることから始めてみてください。

実際に新杵堂は2000年から韓国の韓国企業との貿易交渉を始めました。その後、長い時間かけて2010年からビジネス展開をスタート。2020年には新杵堂グループの全体売上の20%を占める重要な事業となりました。

韓国を選んだ理由は、距離的に近くすぐに足を運べること、偶然にも私に韓国人の友人が多く、いろいろな情報を得られること、政治的な抑制がアジアの国々でも少ないこと、インターネット先進国であったことなどです。

現在では世界13の国と地域で事業を展開できていますが、最初はこの韓国1ヶ国からだったのです。

そして今では新商品の販売は日本からではなく世界現地販売にしており、2022年度の新杵堂グループの売上は『国内販売45%+世界販売55%』となり、国内売上を海外売上が上回る結果となっています。もし海外展開をしていなければ、新杵堂はコロナをのりきれなかったかもしれません。いや、挑戦していなければ会社はなくなっていたに違いありません。

〝業界飛び越えコラボ〟なしでは生き残れない

もう1つ、現状の業態にこだわってビジネスを続けることも、非常に危険だと私は考えます。

もちろん、例外はあります。しかしそれは拡大する業界や、淘汰されようのない業界の場合です。

前者であればプラットフォーム系の企業体です。例えば、Amazonや楽天は業種としてはプラットフォーマーで、ビジネスの「基盤=プラットフォーム」を提供し、そこにさまざまな企業や個人商店が出店することでビジネスを行います。

後者であれば介護業界やクリーニング業界のような業種です。デジタル化できない業種は淘汰されることなく、生き残っていくことができるでしょう。

ですが、インターネットに置き換えられたり、縮小傾向にあるような業界は、そうはいきません。

私のいるお菓子業界はまさにそうですが、拡大する市場や業界を見つけ、そこに出向いて行かないと生き残れない業種と言えます。

拡大する市場とは、先述のようなプラットフォーマーです。Amazonや楽天のようなECモールに加えて、ジャパネットたかたのような販売に特化したプラットフォーマーも選択肢に入ります。

これらの異業種と提携し、インターネット上に出店したり、新しい販路を獲得していく考え方が必要です。

提携をするときに必要なのは次の2つの視点です。

・インターネットビジネスができる企業
・自社とは異なる事業で成果を出している企業

世界に目を向けるというと、言葉も通じない異国の地で孤軍奮闘するイメージがあるかもしれません。しかし実際にはそうではありません。グローバルな異業種企業と通常どおりに取引すればよいのです。

世界を股にかけつつ、さらにこれから大きくなっていくであろう業種と組むことで自社の危機を救い、共に成長していけるようになるのです。

非常識 社長業〜一万回断られても10,001回目に成功させる〜
田口和寿(たぐち・かずひさ)
株式会社新杵堂代表取締役会長兼新杵堂グループ代表岐阜県の和菓子屋「新杵堂」2代目の父と母の間に生まれる。高校を卒業し、和菓子専門学校に入学。その後、上京し宮内庁御用達の赤坂・塩野で職人として修業する。1995年に塩野5年目で退社し、お菓子修行のために単身ニューヨークに渡る。当初、家がなくセントラルパークに住み、公園で知り合ったお金持ち夫婦に超高級レストラン(職場)を紹介してもらう。その後、世界中からパティシエが集まる人気店でスイーツを学ぶ。その後、パリにも渡る。帰国後、有限会社新杵堂(岐阜県中津川市)として組織変更し、代表取締役に就任。親を含めた数人でスタート。資金調達のために岐阜県内の長者番付上位100人に電話し、99人に断られ数回警察に通報されるも、非常識な作戦の数々でピンチをチャンスに替えていく。その後、楽天でニューヨークチーズケーキをモチーフにしたお菓子「栗ふわふわ」を大ヒットさせ、2021年世界13か国でお菓子を売る年商15億円(世界従業員140人)の会社にまで成長させる。※夢は「お菓子で人々を幸せにする」。一歩として、ママのための保育園設立、そして夢支援のための財団。また、受刑者などを受ける団体への加盟と、受け入れ開始している。https://www.shinkinedo.com/

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